自作薪ストーブは耐久性に難有・・・燃焼室を改良することで実用化に成功

室内暖房用のロケットストーブをステンレス煙突やスパイラルダクトで自作する場合にネックになってくるのが、毎日10時間以上高温にさらされ続ける燃焼室の耐久性です。

燃焼室に使う部材としては、ステンレス煙突では耐久性が弱く、2~3週間ほどでぼろぼろになってしまいます。

その頻度で壊れてしまうような薪ストーブでは、安心して使っていくことはできませんよね。

そこで今回は、ロケットストーブという自作薪ストーブの燃焼室破損の原因追及と、燃焼室の耐久性を向上させ、室内暖房用として実用可能なレベルまで改善した改良内容についてお話します。

ロケットストーブ運用開始から約2週間でトラブル発生

室内暖房用のロケットストーブの運用開始から約二週間がたちました。

初めのころはよく燃えていたのですが、最近うまく燃えてくれなくなってきて、いろいろと原因を探っていくと、ステンレス煙突のT曲を流用した燃焼室に穴が開いていることが分かりました。

ロケットストーブの燃焼室の壁に穴があいた

ロケットストーブの燃焼室に穴が開いた

ステンレスの鉄板がボロボロになって、穴が開き、そこから断熱材として充填していたパーライトがぼろぼろと燃焼室の中に入ってきています。

U字溝の隙間からロケットストーブの燃焼室に冷たい空気が流入

ロケットストーブの前方外側からも確認してみると、ちょうとU字溝とステンレス煙突の間に充填していたパーライトがなくなっていました。

この穴から燃焼室に冷たい空気が流れ込んで、燃料投入口から吸入されるはずだった空気が吸入されず、その結果、安定した燃焼が阻害されていたことが燃焼不良の原因でした。

燃料の過剰投入で燃焼室が高温になりすぎる

私が自作したロケットストーブは、細かな端材などを効率よく燃焼させるために、断熱材となるパーライトを燃焼室の周りまで充填しています。

その結果、このように普通ならなかなかできない5~6cm程度の端材も連続燃焼する事ができるようになりました。

ですが、今回はこの燃焼効率の良さが裏目に出て、燃焼室内部の温度が高温になりすぎたせいで、ステンレス煙突の耐えうる温度を超えてしまいました。

このパーツは、1個当たり数百円なので消耗品扱いとして2週間おきに交換してもよいのですが、それは少し面倒ですし、燃焼室がこの程度で破損しては安全ではありません。

ただ、安くて耐久性もよく、手に入りやすいステンレス製煙突のような汎用品を使って実用的なロケットストーブを仕上げたいので、燃焼室を高温にも耐えられる物に改善するのではなく、燃焼室が高温になりにくい構造にする方向で改良を進めていくことにしました。

燃料投入口を垂直ではなく傾斜付きに変更

湿った薪や流木も燃やせる室内暖房用のロケットストーブ

今までは燃料投入口が垂直だったので、薪が重力で落下し、燃焼室にどんどん投入されていました。

そこに強制的に空気が送り込まれるので、どんどん燃焼室が高温になる・・・

ということは、燃料投入口を斜めにして、燃料の送られるスピードを遅くすればよいのではないか?

そんな考えから、このような傾斜の付いたダクト用パーツを燃焼室に採用する事にしました。

ロケットストーブの燃焼室にダクト用パーツを採用

これで、燃焼室に送り込まれる薪の量が以前よりは少なくなり、燃焼室の温度が異常に高くなることは減るはずです。

燃焼室の周りには、今後のメンテナンス性を考えて、パーライトで埋め尽くすのではなく、小石やアルミダクトなどで簡易的な断熱を施しました。

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燃焼室改良版ロケットストーブの燃焼テスト

燃焼室を改良したロケットストーブで燃焼テストをしてみたところ、意外なことに気が付きました。

明らかに今までのロケットストーブより安定した燃焼ができるようになっています。

燃料が斜めに投入されるようになったこと、そして空気の流入口が真横からになったおかげで、燃焼前の薪にも熱が十分に伝わりやすくなったため、以前よりも安定した燃焼になっています。

しっかりと乾かした薪なら、一本ずつじっくり燃焼させていくなんてこともできるようになりました。

燃焼室の温度が下がり、耐久性は1ヶ月間に伸びたが・・・

燃料投入口を斜めに改良してから1ヶ月が過ぎました。

若干燃焼が不安定になり始めたので燃焼室の状態を確かめるために、一度ロケットストーブを分解してみたら、燃焼室や燃焼室直後の曲がり煙突がものすごく劣化していることが分かりました。

ロケットストーブの燃焼室とヒートライザーの劣化(ステンレス煙突、約1ヵ月)

ヒートライザーとして使っていたまっすぐな煙突も、下半分が錆びてボロボロという感じ。

ロケットストーブのヒートライザーも下半分は錆びてボロボロ

前回の結果と、今回燃焼温度を下げてロケットストーブを運用してみた結果、燃焼温度を少し下げる工夫をしたとしても、もともとロケットストーブは燃焼温度が高くなってしまう特徴があるので、その手法では燃焼室の耐久性を改善する事が出来ませんでした。

このまま運用を続けるのであれば、燃焼室とヒートライザー部を1ヶ月毎に交換(約4000円)しなくてはいけません。

ロケットストーブの分解&組み立ては半日がかり。

これじゃあ、ロケットストーブを実用化したと言えるレベルではありません。

ただ、実際にロケットストーブを2ヶ月間使ってみて、本当にいいものだと言うことを肌で感じているので、こんなことでロケットストーブの実用化を諦めるのはもったいない。

そこで、一旦頭を冷やして更なる改良を考えることにしました。

燃焼室のまわりを耐火モルタルとパーライトの混合物で固める

これまでの実験で、ステンレス煙突を出来るだけ長く使うという考え方をしてきたのですが、この調子だとそのやり方ではうまくいかなさそうだということが分かってきました。

なので、今回はステンレス煙突が錆びてボロボロになって、たとえ穴が開いてしまったとしてもロケットストーブを使い続けられる構造にするという方針で改良する事にしました。

そこで思いついたのが、耐火モルタルを燃焼室とU字溝の周りに流し込んで、燃焼室を固めてしまうという方法。

この方法なら、燃焼室のステンレス煙突が錆びてボロボロになってしまっても、耐火モルタルが壁の役割を果たすので、ロケットストーブの燃焼を妨げることがありません。

ただ、耐火モルタルだけで燃焼室のまわりを埋めようとすると、相当な量を必要とするので費用がかかります。

それに、耐火モルタルが加熱され、膨張した時に、その膨張率の違いから耐火モルタルの周りのU字溝を割ってしまう可能性もあります。

そこで今回は、耐火モルタルに断熱材として活用していたパーライトを混ぜて施工することにしました。

パーライトは安いですし、もろい物質なのでU字溝にかかる力を軽減しつつ、燃焼室の断熱性能を高めてくれます。

燃焼室のまわりを耐火モルタルで覆って耐久性を向上

燃焼室の周りは、U字溝一杯まで耐火モルタル&パーライトを流し込みました。

ロケットストーブのヒートライザーは耐火モルタル&パーライトで断熱

ヒートライザー部も同様に、耐火モルタル&パーライトを充填しました。

1日乾燥させて燃焼室に火を入れてみたところ、以前にも増して安定した燃焼が可能になっています。

恐らく、パーライトの断熱効果に加えて、耐火モルタルの蓄熱効果も加わったため、燃焼効率が向上したのでしょう。

改良を加えてから2週間ほど運用していますが、燃焼も安定していますし、U字溝の割れもなく、とても順調です。

【Q&Aその1】モルタルとパーライトの混合比について

多数の問合せをいただいているモルタルとパーライトの混合比について、実際に私が実験した結果とともにお話しておきます。

まず、強度や耐久性の側面から見ていくと、耐火モルタルを多めに配合したほうが良いことが分かってきました。

これはあたり前のことかな(笑)

もうひとつは、パーライトを多く配合したほうが、着火時の火の回りが速く、燃焼が安定しやすいということ。

これは一体どいうことか?

着火時は、着火によって発生した熱がさらに薪を加熱し、その加熱された薪から発する可燃ガスに引火するというプロセスが繰り返されることによって、燃焼が安定していきます。

ここで着目したいのは、着火によって発生した熱は壁にも吸収されているという点。

燃焼室の壁がパーライトのような熱容量が小さく、さらに断熱性の高いもので覆われている場合、壁に吸収される熱エネルギーは少なくてすむため、着火によって発生した熱はちゃんと薪の加熱に使われていきます。

ですが、燃焼室の壁が耐火モルタルや耐火煉瓦のような熱容量の大きなもので覆われていると、その壁を暖めるために必要な熱エネルギーが必要となり、着火時に発生した熱が薪ではなく壁の方に多く伝わることになります。

その結果、耐火モルタルを多用すると、壁が十分に暖まり、安定した燃焼に至るまでの時間が延びてしまうことになります。

私の場合、燃焼実験を繰り替えし、燃焼室の強度や耐久性と、着火のしやすさのちょうど良いところのだいたい目分量(重さではなく体積)で耐火モルタル3~4に対して、パーライト1の割合で混合しています。

ただし、ロケットストーブの大きさや構造が変わってしまうとこの数値も変動しますから、あくまで参考値としてご活用ください。

【Q&Aその2】耐火モルタルの固め方

「耐火モルタルは1000度でないと固まらないとネット情報であり、迷っています。トーチバーナーはもっていて1400度はだせるのですが、どのように固めたのか、教えていただければありがたいです。」といった質問をいただきました。

昨今では一般市場でも購入出来るようになりましたが、
どう施工するかまではまず説明はありませんし、店頭においてあるモルタルは、
ほとんどが「ヒートセット=熱が加わる事によって硬化する」モルタルだからです。

引用)モルタルにも組み合わせがある|CHIKIROの館

おそらく、こちらのサイトで紹介されている記事などを読まれたのだと思います。

先ほどのサイトでも紹介されているように、耐火モルタルは大きく分けて2種類に分かれます。

  1. 熱を加えることによって固めるヒートセット(熱硬性)
  2. 常温でも固まるエアセット(気硬性)

で、今回私が使った耐火モルタルは2つ目の常温でも固まるエアセットタイプを使用したので、あえて熱を加えてモルタルを硬化させる必要は有りませんでした。

昔は少なかったようですが、最近ではホームセンターなどでも簡単にエアセットタイプのものを購入することができます。

価格もそこまで高いものではないので、今回紹介した方法でロケットストーブを作る場合は、エアセットタイプの耐火モルタルを選んで使うと良いでしょう。

耐火モルタルがヒートセットかエアセットかを見分ける方法は、パッケージの裏に書かれている説明を見て、「○℃まで加熱して、熱を加えて硬化させる必要があります。」=ヒートセット、「常温で○時間放置して硬化させてください。」=エアセットという判断でOKです。

最後に一言

今回は、自作薪ストーブは耐久性に難有・・・燃焼室を改良することで実用化に成功についてお話しました。

燃焼室が壊れるといったアクシデントのおかげで、このロケットストーブは耐久性が増し、さらに安定した燃焼まで可能になりました。

このステンレス煙突で作ったロケットストーブの燃焼室の耐久性に関しては、室内暖房として実用するための最大のネックになっていましたので、それを改善出来たことに満足しています。

もし同じようなことを考えていている方がいたら、ぜひこの内容を参考にしてみてくださいね。

それでは!

2019年6月20日自作・作り方

Posted by ロケットストーブマニア