【完全保存版】自作ロケットストーブの原理と構造を徹底解説

我が家では、ホームセンターの材料だけで作った自作ロケットストーブを室内暖房として活用しています。

ただ、「ロケットストーブは自作できますよ。」と言われても、いったいどうやって作ればいいのか、それ以前に、ロケットストーブの原理や構造はどのようなものなのか、素人にはなかなか分からないと思います。

私も最初はそうでした。

ロケットストーブは鋳物の薪ストーブとは考え方が異なりますし、ネットでロケットストーブと検索すると簡単に作れはするけど耐久性があまりないペール缶を使ったロケットストーブばかりでしたし、考え方の部分について書かれた文献は日本に少ししかありませんでした。

そこで、英語で書かれたの文献を必死に読んで、それを元に設計や実験すようになり、ようやく室内暖房として活用できるロケットストーブが出来上がりました。

そこで今回は、そのロケットストーブの原理とその具体的な構造について、あなたがロケットストーブを作れるようになるぐらいまで詳しくお話していきます。

いくつか専門用語が出てきますが、それらもできる限り分かりやすく解説していきますので、お付き合いくださいね。

私が参考にしたロケットストーブまとめ

ロケットストーブの原理を理解する第一歩は、いろんな種類のロケットストーブを眺めながら感覚的にその構造を理解することだと思います。

私がすばらしいなぁと感じたロケットストーブをまとめて紹介しておきます。

田舎暮らしの必需品!ペール缶ロケットストーブを製作

屋外用のロケットストーブといえばペール缶を使ったロケットストーブ。詳しい作り方が紹介されています。

出典)田舎暮らしの必需品!ペール缶ロケットストーブを製作|地球生活NEO

一斗缶ロケットストーブの作り方

ペール缶以外にも一斗缶で作るロケットストーブもありました。詳しい作り方が紹介されています。

出典)一斗缶ロケットストーブの作り方.pdf

ただし、ペール缶で作るロケットストーブは薪を燃やす部分(燃焼室からヒートライザーまで)をステンレス煙突で構成するため、耐久性がありません。

実際に、室内暖房用として一日あたり7~8時間使い続けると、半月ほどでこのような状態になってしまいます。

出典)自作薪ストーブは耐久性に難有・・・燃焼室を改良することで実用化に成功

ペール缶ロケットストーブはアウトドアや災害時、またはロケットストーブの実験勉強用に使うという感じで作成すると良いでしょう。

>>ペール缶ロケットストーブの作り方と使い勝手を徹底検証

次はペール缶を利用した屋外用のロケットストーブではなく、室内暖房用として活用できるロケットストーブを紹介していきます。

給湯や床暖房も出来るロケットストーブ

給湯や床暖房も出来る自作ロケットストーブを作った人がいました。設計図から課題を克服したプロセスまで載っているので参考になりますよ。

出典)わくわくストーブ (ペチカとロケットストーブ 時計ストーブを融合したストーブ)|シャンティクティ

デザイン性の高いロケットストーブ

大量のレンガを使用しているため蓄熱性に優れたロケットストーブ。デザイン性も高いのが特徴。こちらも設計図から、組み立ての様子などがよく分かります。

出典)ロケットストーブ|家具工房 一木 (いちもく)

マキの量が今までの1/5で済む薪ストーブの紹介です
外国などで多く作られている排熱を徹底的に利用できるベンチシート付のロケットストーブ。家を大幅に改造してもOKという人は、こういう形にしてもいいですね。

出典)【セントラルヒーティング】マキの量が今までの1/5で済む、薪ストーブの紹介です|YouTube

世の中にある自作ロケットストーブをこうやってたくさん眺めていくと、なんとなくロケットストーブのイメージが出来上がってきたのではないでしょうか?

ロケットストーブの燃焼構造の説明

ロケットストーブは、ヒートライザーと呼ばれる煙突とバーントンネルと呼ばれる燃焼室に特徴があります。

ロケットストーブの原理

出典)月刊 現代農業

まず、ヒートライザーとはしっかりと断熱された煙突のことで、ここに高温の燃焼ガスが流れ込むことによって、煙突内に強烈な上昇気流が生じます。

ヒートライザーが短くても、そこに生じる上昇気流は強く、引きの強い煙突になり、火をつけた後、焚き口から煙が出てこないぐらい空気がロケットストーブの中に吸い込まれていきます。

これは煙突効果の計算式を理解するとよく分かってくると思います。

⊿P=C・h((1/To)ー(1/Ti))

⊿P;生じる圧力差[Pa]
C;定数
h;煙突の高さ[m]
To;外気の絶対温度[K]
Ti;煙突内の平均温度[K]

式に書くと難しく感じてしまいますが、煙突内の排気ガスを押し出す力を生み出す圧力差⊿Pを大きくするためには、煙突の高さhを大きくするか、煙突内の平均温度Tiを大きくするような設計をする必要があることが分かってきます。

ロケットストーブは基本的にはこの式の中にある煙突内の平均温度Tiを大きくすることに着目したもので、煙突部を断熱することによって煙突内部の平均温度を上げて煙突効果を大きくするような仕組みになっています。

次にバーントンネルという燃焼室ですが、これもヒートライザーと同様に断熱します。

すると燃焼室の温度が上がるため、比較的長い間高温状態を保ちながらヒートライザーの出口まで流れていきます。

ロケットストーブの二次燃焼のイメージ

出典)月刊 現代農業2013年12月号

ここで着目したいのは、先程の煙突効果のところでお話したように、ロケットストーブは煙突効果による排気力が高まる設計になっているため、バーントンネル内はかなり速く、かつ乱れた(渦を巻くような)状態で空気が流れています。

その結果、燃焼に必要な酸素の一部がバーントンネル内を暖められながら素通りすることが頻繁にあり、それが高温のヒートライザー部まで到達し、そこにある未燃焼ガスと反応することによりヒートライザー内で二次燃焼が引き起こされます。

この燃焼によってさらにヒートライザー内の温度が上がり、その結果、煙突効果による排気力が高まり、吸気口から吸い込まれる空気の量が増え、燃焼が強まるというような循環を繰り返すのがロケットストーブの特徴です。

シンプルな構造でポイントさえ抑えれば誰にでも簡単に二次燃焼を誘発させるこのヒートライザー部とバーントンネル部の断熱構造がロケットストーブのいいところです。

このことを理解すると、ペール缶ロケットストーブはシンプルな部材で先ほどお話した仕組みを再現している事が良く分かりますね。

>>ペール缶ロケットストーブの作り方と使い勝手を徹底検証

ここで注意しておきたいことは、燃焼室からヒートライザー部までの間に調理部などを設けてヒートライザーに流入する排気ガスの温度を下げてしまうと、ロケットストーブ特有の強い空気の引き込みや二次燃焼を妨げる要因になってしまうことがあります。

また、先程の煙突効果の計算式のところで出てきたように、煙突高さhもロケットストーブの引き込みの強さを大きく左右する要因になりますので、ヒートライザー部が短いものは空気の吸い込みが弱くなってしまうでしょう。

この煙突効果やそれによって引き起こされる二次燃焼の仕組みを理解すれば、どのロケットストーブが空気の吸込みが強くて、力強く二次燃焼を生み出せるかよく分かりますので、ぜひこのあたりのことをしっかりと理解しておきましょう。

また、このことを理解できるようになると、一般的な薪ストーブとロケットストーブとの違いも明確にわかるようになってきますので、どんどんロケットストーブを勉強することが楽しみになってきますよ。

今回自作した室内暖房用ロケットストーブの全体像

私が自作したロケットストーブは、ホームセンターで売っている材料を使って板間のリビングダイニングの暖房用として使えます。

このロケットストーブの構造は機能的に分類すると、以下の4つに分けることが出来ます。

自作ロケットストーブの構造

  • 燃焼部;薪を燃焼させたり、薪を投入、灰を排出する
  • ヒートライザー部;断熱された垂直が煙突燃焼後の空気を強力に押し出す
  • 室内熱交換部;燃焼後の高温のガスから熱を取り出す
  • 室外煙突部;燃焼後のガスを室外に排出する

それぞれの部位について、詳しくみていきましょう。

薪が燃える燃焼室の構造

燃焼部は、薪を燃焼させるための部分で、主にステンレス煙突のL曲やダクトY管などを流用して構成します。

普通はどちらか一つを燃焼室として使いますが、私が使っているロケットストーブでは安定した燃焼を得るため、これら二つを下記の写真のような形で組み合わせています。

ロケットストーブの燃焼室の説明

燃料の投入は、左側の斜め上向きの投入口と右側の垂直上向きの投入口の二箇所から行い、下の水平な部分は着火や燃焼後の灰を取り出すために使います。

ロケットストーブの構造は燃焼投入口を2つにする

実際に薪が燃えるのは、赤線で囲まれたこの部分です。

見てもらえば分かるとおり、燃料投入口を2つにしているため、一般的なロケットストーブに比べて薪が燃焼する領域が広くなっています。

こうすることによって、薪をくべる間隔を長くする事ができました。

自作ロケットストーブの燃焼室の構造

そして、奥側の燃料投入口(写真右側)に入れる薪を調節すれば、暖房能力を調節する事も可能です。

例えば、秋などは奥側の投入口に細長い薪を入れれば弱火運転、沢山の熱が必要になる真冬の時期は、奥側の燃料投入口に太目の薪を投入してやれば、強火運転という感じですね。

燃焼室のまわりを耐火モルタルで覆って耐久性を向上

ロケットストーブを自作するポイントの一つとして、安定した燃焼を得るためには燃焼室のまわりの断熱と耐久性の向上が重要です。

上の写真を見てもらうと分かるように、燃焼室の壁が直接外気に触れて冷めてしまわないように、薪を燃焼させる部位の周りにはパーライトを混ぜた耐火モルタルを流し込んでいます。

ロケットストーブを作っても、連続した安定燃焼が出来ない場合は、燃焼室周りの断熱を改良してみると思った以上に良い結果が得られると思います。

さらに、耐火モルタルで燃焼室まわりを固めたことによって、高温&塩害(流木を使用の場合)で燃焼室となっているステンレス煙突が錆びて朽ち果ててしまっても、耐火モルタルが燃焼室の壁の役割を果たします。

このような構造にする事によって、ロケットストーブの課題だった安定継続する燃焼と燃焼室の耐久性を一気に解消していますので、ぜひ参考にしてください。

>>自作薪ストーブは耐久性に難有・・・燃焼室を改良することで実用化に成功

強力な排気力を生み出すヒートライザーの構造

室内暖房に使えるロケットストーブのヒートライザー

ヒートライザーとは、垂直に立った煙突を不燃性の熱を伝えにくい物質(パーライトなど)で覆って断熱する事により、内部を流れる燃焼ガスの温度を高温に保ちつつ、未燃焼ガスを二次燃焼させ、大きな排気力を生み出す構造のことをいいます。

出典)月刊 現代農業2013年12月号

その排気力の計算式(排気力は、煙突の高さと、外気温と煙突内部の温度差に比例する)がこちら。

(排気力)=(煙突の高さ)×{(煙突内部の温度)ー(外気温度)}

例えば、一般的な薪ストーブを考えてみると、5mの煙突で煙突内部の温度が100℃、外気温度が0℃の場合、排気力は500になります。

それに対してロケットストーブの場合、1mのヒートライザー(断熱煙突)で燃焼温度が500℃、外気温度が0℃の場合、排気力は500ということになり、5mの薪ストーブの煙突と1mのヒートライザーは同じぐらいの排熱能力ということがわかります。

一般的な薪ストーブは断熱2重煙突で燃焼ガスを吸い上げているわけですが、ロケットストーブはこの1mのヒートライザー部で強力な排気力を生み出すことができるため、高価な断熱2重煙突を設置する必要がありません。

逆に言うと、必要な排気力はヒートライザー部で確保されているため、ヒートライザーを出た後の燃焼ガスから熱を取り出して、積極的に室内を暖めても良いということになります。

これが排気ガスを高温のまま室外に放出しなければならないという一般的な薪ストーブより、ロケットストーブのほうが燃費がよくなる理由の一つになっています。

熱を室内に放出する室内熱交換部の構造

ロケットストーブの煙が室内に漏れ出さないように耐熱アルミテープで塞ぐ

室内熱交換部は、ロケットストーブ本体から出てくる高温の排気ガスを複数に分岐したシングル煙突に流し込むことによって、そこから熱を取り出し、室内の空気を暖める部位になっています。

一般的な薪ストーブでこのような事をしてしまうと、必要な排気力が生まれないため、薪ストーブの中に空気が流れこまなくなり、薪ストーブ内部の火が消えてしまいます。

ですが、ロケットストーブの場合は、先ほど説明したヒートライザーが強力な排気力を生み出しているため、冷えてしまった燃焼ガスをどんどん室外に押し出してくれます。

なるべく排気ガスが室内側の煙突内部に残るように、煙突を分岐させ、内部を流れる煙の流速を遅くするような配管にしてあります。

ただし、部屋が吹き抜けで、曲がりの少ない十分な長さの煙突を室内に確保する事が出来るような場合は、わざわざこのような複雑な配管をする必要はありません。

ちなみに現在では、室内側の煙突はこのような感じに改良されています。

排熱を効果的に利用するため室内側の煙突を延長し、かつ輻射熱を効率よく利用するため黒色の耐熱ペイントを施工しています。

ただし、室内側の煙突の長さはこれ以上伸ばしてしまうと、煙突の内部に発生する木窄液が壁貫通部分付近の煙突のつなぎ目から出てきてしまいます。

出典)自作薪ストーブ(ロケットストーブ)のメリットとデメリットのまとめ

ですので、室内側の煙突は木酢液の発生する温度帯(煙突の外表面温度が50~70度以下)を目処に、その温度以下にならない程度の長さにすることが要求されます。

室外に煙を排出する煙突部の構造

煙がほとんど出ないロケットストーブ

ロケットストーブの室外煙突部は、燃焼ガスを室外に排出するための部位です。

ロケットストーブは燃焼温度が高いため、安定燃焼中は煙が無色透明に近いのが特徴ですが、全く煙が出ないというわけではありません。

薪に火をつけた直後は白い色の煙が少し出ますし、においに関してはしっかりと薪が燃えるにおいがします。

ですから近所迷惑にならないように、できれば屋根の上のほうまで煙突を立ち上げて、煙が下に降りて来ないようにした方が良いと思います。

また、煙突の先には専用のパーツを取り付けて、煙突の内部に直接雨水が入ってこないようにしておきましょう。

最後に一言

今回は、室内暖房に使える自作ロケットストーブの構造とその具体的な構造について解説しました。

構造が簡単で、あまりコストをかけずに、ホームセンターに売っている部材で室内暖房にも使えるロケットストーブを作ることが出来るのが、この自作薪ストーブの特徴です。

薪ストーブを自作してみたいと思っている人は、このロケットストーブも選択肢のうちの一つとしてみてはいかがですか?

ロケットストーブの具体的な作り方は、こちらの記事で紹介しています。

>>シンプルな室内暖房用のDIYロケットストーブ本体の具体的な作り方

それでは!

2019年6月20日原理構造

Posted by ロケットストーブマニア