自作薪ストーブは耐久性に難有・・・燃焼室を改良することで実用化に成功

燃焼室のまわりを耐火モルタルとパーライトの混合物で固める

これまでの実験で、ステンレス煙突を出来るだけ長く使うという考え方をしてきたのですが、この調子だとそのやり方ではうまくいかなさそうだということが分かってきました。

なので、今回はステンレス煙突が錆びてボロボロになって、たとえ穴が開いてしまったとしてもロケットストーブを使い続けられる構造にするという方針で改良する事にしました。

そこで思いついたのが、耐火モルタルを燃焼室とU字溝の周りに流し込んで、燃焼室を固めてしまうという方法。

この方法なら、燃焼室のステンレス煙突が錆びてボロボロになってしまっても、耐火モルタルが壁の役割を果たすので、ロケットストーブの燃焼を妨げることがありません。

ただ、耐火モルタルだけで燃焼室のまわりを埋めようとすると、相当な量を必要とするので費用がかかります。

それに、耐火モルタルが加熱され、膨張した時に、その膨張率の違いから耐火モルタルの周りのU字溝を割ってしまう可能性もあります。

そこで今回は、耐火モルタルに断熱材として活用していたパーライトを混ぜて施工することにしました。

パーライトは安いですし、もろい物質なのでU字溝にかかる力を軽減しつつ、燃焼室の断熱性能を高めてくれます。

燃焼室のまわりを耐火モルタルで覆って耐久性を向上

燃焼室の周りは、U字溝一杯まで耐火モルタル&パーライトを流し込みました。

ロケットストーブのヒートライザーは耐火モルタル&パーライトで断熱

ヒートライザー部も同様に、耐火モルタル&パーライトを充填しました。

1日乾燥させて燃焼室に火を入れてみたところ、以前にも増して安定した燃焼が可能になっています。

恐らく、パーライトの断熱効果に加えて、耐火モルタルの蓄熱効果も加わったため、燃焼効率が向上したのでしょう。

改良を加えてから2週間ほど運用していますが、燃焼も安定していますし、U字溝の割れもなく、とても順調です。

【燃焼テストその6】耐久性の高い燃焼室に改良後のロケットストーブ

【Q&Aその1】モルタルとパーライトの混合比について

多数の問合せをいただいているモルタルとパーライトの混合比について、実際に私が実験した結果とともにお話しておきます。

まず、強度や耐久性の側面から見ていくと、耐火モルタルを多めに配合したほうが良いことが分かってきました。

これはあたり前のことかな(笑)

もうひとつは、パーライトを多く配合したほうが、着火時の火の回りが速く、燃焼が安定しやすいということ。

これは一体どいうことか?

着火時は、着火によって発生した熱がさらに薪を加熱し、その加熱された薪から発する可燃ガスに引火するというプロセスが繰り返されることによって、燃焼が安定していきます。

ここで着目したいのは、着火によって発生した熱は壁にも吸収されているという点。

燃焼室の壁がパーライトのような熱容量が小さく、さらに断熱性の高いもので覆われている場合、壁に吸収される熱エネルギーは少なくてすむため、着火によって発生した熱はちゃんと薪の加熱に使われていきます。

ですが、燃焼室の壁が耐火モルタルや耐火煉瓦のような熱容量の大きなもので覆われていると、その壁を暖めるために必要な熱エネルギーが必要となり、着火時に発生した熱が薪ではなく壁の方に多く伝わることになります。

その結果、耐火モルタルを多用すると、壁が十分に暖まり、安定した燃焼に至るまでの時間が延びてしまうことになります。

私の場合、燃焼実験を繰り替えし、燃焼室の強度や耐久性と、着火のしやすさのちょうど良いところのだいたい目分量(重さではなく体積)で耐火モルタル3~4に対して、パーライト1の割合で混合しています。

ただし、ロケットストーブの大きさや構造が変わってしまうとこの数値も変動しますから、あくまで参考値としてご活用ください。

【Q&Aその2】耐火モルタルの固め方

「耐火モルタルは1000度でないと固まらないとネット情報であり、迷っています。トーチバーナーはもっていて1400度はだせるのですが、どのように固めたのか、教えていただければありがたいです。」といった質問をいただきました。

昨今では一般市場でも購入出来るようになりましたが、
どう施工するかまではまず説明はありませんし、店頭においてあるモルタルは、
ほとんどが「ヒートセット=熱が加わる事によって硬化する」モルタルだからです。

引用)モルタルにも組み合わせがある|CHIKIROの館

おそらく、こちらのサイトで紹介されている記事などを読まれたのだと思います。

先ほどのサイトでも紹介されているように、耐火モルタルは大きく分けて2種類に分かれます。

  1. 熱を加えることによって固めるヒートセット(熱硬性)
  2. 常温でも固まるエアセット(気硬性)

で、今回私が使った耐火モルタルは2つ目の常温でも固まるエアセットタイプを使用したので、あえて熱を加えてモルタルを硬化させる必要は有りませんでした。

昔は少なかったようですが、最近ではホームセンターなどでも簡単にエアセットタイプのものを購入することができます。

価格もそこまで高いものではないので、今回紹介した方法でロケットストーブを作る場合は、エアセットタイプの耐火モルタルを選んで使うと良いでしょう。

耐火モルタルがヒートセットかエアセットかを見分ける方法は、パッケージの裏に書かれている説明を見て、「○℃まで加熱して、熱を加えて硬化させる必要があります。」=ヒートセット、「常温で○時間放置して硬化させてください。」=エアセットという判断でOKです。

最後に一言

今回は、自作薪ストーブは耐久性に難有・・・燃焼室を改良することで実用化に成功についてお話しました。

燃焼室が壊れるといったアクシデントのおかげで、このロケットストーブは耐久性が増し、さらに安定した燃焼まで可能になりました。

このステンレス煙突で作ったロケットストーブの燃焼室の耐久性に関しては、室内暖房として実用するための最大のネックになっていましたので、それを改善出来たことに満足しています。

もし同じようなことを考えていている方がいたら、ぜひこの内容を参考にしてみてくださいね。

それでは!



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