自作薪ストーブ(ロケットストーブ)のメリットとデメリットのまとめ

ロケットストーブのメリット

まずは、ロケットストーブのメリットからお話してきます。

じんわりホカホカ暖かい&優しい音

室内暖房でロケットストーブを安定して燃焼させる方法

自作薪ストーブの暖かさは、エアコンや石油ファンヒーターのような暖かさとは、感じ方が全く違います。

エアコンや石油ファンヒーターは、空気を暖めて部屋の温度を体温(約37℃)に近づけることによって体を暖めます。

もっと適切な表現をすれば、体を温めるというより、体の周りにある冷たい空気によって体から奪われる熱を小さくするというイメージです。

つまり、それらの暖房器具は「直接体を暖めているわけではない」ということを理解していただけますでしょうか?

それに対して、薪ストーブの場合は、先ほど紹介したエアコンやファンヒーターなどと同じように部屋の空気の温度を上げる以外にも、薪ストーブ本体から放射される放射熱によって、直接熱が入ってきて体を温めるという効果もあります。

だから、薪ストーブの場合は部屋の温度が低くても、とても暖かく感じます。

具体的に言うなら、エアコンの場合、足先が冷たくなって頭や耳が熱く感じるような温まり方ですが、薪ストーブの場合は、足先も頭と同じぐらいにポッポしてきます。

今までは「床が冷たくていやだ・・・」って感じていたのが、「床がひんやりして気持ちがいいなぁ」って感じです。

これは話をしてもなかなか理解できないことなので、実際に体感してもらうのが一番いいと思います。

一般的な鋳物の薪ストーブに比べて燃費がいい

ロケットストーブは小さな燃焼室の中で燃焼するため、薪が高温で燃焼し、さらに、本体後方の垂直に立ち上げたヒートライザー内で未燃焼ガスが二次燃焼しつつ、そこで強力な排気力が生まれるために、室内に設置したシングル煙突から排気ガスの熱を積極的に取り出すことも可能。

それらの理由から、一般的な薪ストーブの1/3~1/5の薪の使用量で同じぐらいの暖房能力を得ることが出来ます。

暖房費がタダ(年間10万円弱を節約中)

ロケットストーブの薪は浜に落ちている流木なのでタダです

私の家では、薪ストーブを使い始める前まではエアコンで暖房をしていましたが、冬場(11月~3月)にもなると電気代が2万円強もか買ってしまっていました。

でも、この自作薪ストーブを導入してからは、冬の暖房費を大幅に削減する事が出来ています。

その理由は、薪ストーブの燃料には砂浜に落ちている流木や知り合いのところでいらなくなった庭木を伐採したりして使っているので、燃料代は基本的にタダなのです。

流木など自宅まで車に載せて運ぶ時のガソリン代(数十円)ぐらいかな(笑)

ただ、拾ってきた流木は大きさも、乾燥具合もまちまちですので、家に持ち帰った後、適当なサイズにカット&薪割して、数日間乾燥させる必要があります。

流木を集めるタイミングは秋で、台風の後などは浜辺に大量の流木が流れ着きますから、そこを狙います。

その時期に1週間程度は毎朝の朝の日課として、子供達と一緒に浜辺に流木拾いで、薪ストーブシーズンの燃料を集めきります。

結構大変な作業ですが、朝早起きして薪拾いするとすがすがしいですし、近所のおじいちゃんおばあちゃん達と仲良しになれます(笑)

「昔はみんな海で薪を拾ってかまどで使っていたんだよぉ~。」な~んて昔話も聞けたりするかも!?

部屋の空気が汚れない

私が自作したロケットストーブは、一般的な石油ファンヒーターやガスファンヒーターなどと違って、燃焼後の排気ガスを室内ではなく室外に放出しますので、燃料を燃やした後に発生する有害物質で室内の空気を汚しません。

つまり、燃焼系の石油系暖房機器にありがちな、定期的な空気の入れ替えは不要ということです。

そのことよりも強調したいのが、ロケットストーブは空気を吸い込んで外に排気する効果もあるという点。

最近の住宅は、例え有害部室を出さないエアコンや電気ストーブを使っていたとしても、壁紙や合板などから有害な化学物質が放出されていることはご存知だと思います。

健康被害も多く報告されていたため、24時間換気の設置が義務づけられるようになったほどです。

ただ、24時間換気をするために、50~80Wの電気を使う必要もありますし、全ての部屋の空気が完全にきれい(空気中を漂う化学物質の濃度が希薄)になっているとも言い切れません。

なので、最近流行の家の気密断熱という点では矛盾しますが、基本は家には隙間があって、外気が家の中に入ってきている方が健康的な空間ということになります。

つまり、薪ストーブは家の中の空気を吸い出してくれるので、家の中にある有害物質を外に追い出してくれる「換気システム」としても機能しているということになります。

そして、私の場合、薪ストーブの燃料に薪を使っているため暖房費はタダで、薪ストーブからは輻射熱も出てくるので体も家もポカポカ。

少しぐらい外気を家の中に導入しても、それ以上に暖かさを感じているので、全然寒くありません。

「有害物質を室内に出さない薪ストーブ」というよりも、「有害物質を室外に排出してくれる薪ストーブ」だと感じています。

本体壁面温度が低いため設置場所に困らない

鋳物の薪ストーブの場合、本体の壁面や上下面の温度が300~400にもなります。

そこから放射される輻射熱が床や壁を必要以上に暖めて劣化、焦がしてしまうため、薪ストーブ付近の床や壁には耐熱煉瓦などを使用して、なるべく壁から距離をとる必要があります。

今回紹介しているU字溝で作ったロケットストーブは、燃焼室やヒートライザーなどの周囲を断熱材(パーライトなど)で覆っているため、ロケットストーブ本体の温度は150~180℃ぐらいにまでしか上がりません。

ロケットストーブを壁にべったり設置というわけにはいきませんが、鋳物の薪ストーブほど神経質になって壁に耐熱煉瓦などを設置する必要はありません。

詳しい室内への設置方法についてはこちらにまとめてあります。

>>室内に設置する時のポイントはこちら

床暖房が要らなくなる

先ほどの話の続きにもなりますが、薪ストーブからは放射熱が発せられていて、それは部屋の中にいる人を暖めるだけではなく、部屋の壁や床も放射熱が暖めてくれます。

なので、わざわざ床を床暖房で暖めなくても、床もそこそこ暖かく(ぬるく・・・)なっていきます。

また、薪ストーブの放射熱は体を足先までポカポカに暖めますので、床暖房の必要性が薄れていくことを実感できます。

ちなみに、私の家では薪ストーブを設置する前までは小さな子供のために床暖房を使っていましたが、薪ストーブを設置してからは真冬でも床暖房を使わなくなりました。

家族団欒の時間を過ごすきっかけになる

薪ストーブを設置する場所は、ほとんどの場合が家の中心となるリビング&ダイニングになります。

いくら全館暖房をしていると言っても、薪ストーブのある部屋以外は単に空気温度が高いだけで、薪ストーブから放射されている輻射熱を感じることができません。

つまり、薪ストーブの本来の暖かさを感じられるのは、薪ストーブが設置されている部屋だけということになります。

すると、面白いことですが、人は無意識のうちに心地よい空間に集まる、または今までより長い時間そこで過ごす習性があるようで、家族全員が自然とリビングダイニングに集まってきます。

薪ストーブはただの暖房器具ですが、目には見えないそれ以上の作用があるのではないかと思いますね。

石釜で焼き芋やパンが焼ける

私が作ったDIY薪ストーブには、石釜がついています。

石釜内部の温度は250~300℃にもなっているため、そこにアルミホイルで包んだサツマイモや、発酵させた後のパン生地を入れると、めちゃくちゃおいしく焼きあがります。

自作ロケットストーブの石釜で焼いた焼き芋は甘くてふわふわ

焼き芋の場合は、じっくりと中まで温まっているため、ものすごく甘くてやわらかい。

子供が作ったパンをロケットストーブの石釜で焼いた

パンの場合は、オーブンレンジで焼いた均一で弱々しい焼色ではなく、なんというかアウトドアで焼いたように焼き色が不均一で、外はカリカリ、中はしっとりと言った感じです。

やっぱり遠赤外線が沢山出る石釜で焼くと、おいしさが別格ですね。

部屋干しの洗濯物がよく乾く

主夫目線のメリットですが、ロケットストーブを室内暖房として使うようになってから、明らかに部屋干しの洗濯物の乾きがよくなりました。

その理由として考えられるのは、ロケットストーブの燃料は海で拾ってきた流木なので基本はタダ。

なので、家の中を全館暖房するようになっため、今までより部屋干ししている部屋の温度が上がり、その結果、部屋の湿度が下がって洗濯物から水分が奪われやすい環境になったのではないかと考えています。

今では、部屋干しの洗濯物を取り込もうと思った時に、生乾きで「あ~ぁ・・・」ということがなくなったので、とても嬉しいです。

真冬に外に出た瞬間「あ~、涼しい」と感じる

普通、真冬に玄関から外に出ると「サブッ・・」って感じになりますよね?

でも、薪ストーブで暖房すると体の芯まで温まっているので、「サブッ・・」ってより、「あ~、涼しい」と感じます。

体の約60%は熱容量(冷めにくさを表す言葉)の大きな水分でできているので、その暖められた体が冷めていくまで時間がかかります。

ですから、家から出て冷えた車が温まるぐらいまでは、寒いといった感覚を受けなくなりました。

これは、頭で理解するより、一度体感してもらうと良く分かると思いますよ。

炎を眺めていると落ち着く

パイレックスガラスを使った自作薪ストーブのガラス窓

人は、なぜか「炎」が大好きです。

普通のロケットストーブは燃焼室がステンレス製の煙突などで覆われているため、投入口の蓋を開けずに中の炎を見ることができませんが、今回自作したロケットストーブは、3つある投入口のうち2つをパイレックスガラスを使った燃焼窓にしてあります。

そこから、勢い良く薪が燃えている様子や、ユラユラと光が明暗する感じを見ることができます。

ただし、一般的な鋳物の薪ストーブのような大きなガラス窓ではありませんので、「それなりに薪の燃焼の様子を見ることができる」といったレベルです。

それでも、私にとっては十分なほどのリラックス効果を与えてくれているので、良しとしています。

メンテナンス費用が安い

一般的な鋳物の薪ストーブの場合、高性能なものほど本体の構造が複雑になることが多く、煙突掃除の他にも消耗品の交換など、様々なメンテナンスが必要になり、それを業者にやってもらう人がほとんどです。

そのメンテナンス費用がいったいどれぐらいになるのかは、こちらのサイトを参考にしてみると、本体メンテナンス+煙突掃除で25000円~という価格設定になっています。

>>メンテナンスサービスについて|薪ストーブメンテナンス

もちろん交換しなければならない消耗品(パッキンや触媒など・・・)がある場合は、別途費用が発生してしまいます。

このようなメンテナンス費用が結構高くつくので、普通の薪ストーブは敷居が高いというイメージがありますね。

でも、この自作ロケットストーブの場合、自分で一から作るので、分解してパーツを交換するなんてことは自分の手でできるようになります。

自分で掃除やメンテナンスできるため、コストを大幅に削減できるのが自作薪ストーブのメリットの一つです。

次のページでは、ロケットストーブのデメリットについてお話していきます。



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