ロケットストーブを室内暖房として使うときの9つのポイント

【ポイントその1】排気ガスは煙突で室外へ排出

煙がほとんど出ないロケットストーブ

ロケットストーブを室内に持ち込む時に一番大切なことは、煙突を使って燃焼後のガス(煙)を室外に排出するという点です。

暖房として使う場合、燃えた後の高温の空気を室内に排出すれば一番暖房効率が良さそうですが、燃焼後のガスの中には体に有害な成分が含まれていますので、それは絶対にやめましょう。

ロケットストーブの煙を室内に出してしまうと、目が痛くなったり、息ができなくなったりしますので、必ずステンレス煙突などを使って、煙を室外に排出するようにしてください。

【ポイントその2】室内の煙突を黒色シングル煙突で長めに構成

ロケットストーブはヒートライザー(垂直煙突の断熱部)で煙を強力に押し出して排気する力がありますので、一般的な薪ストーブのように煙突内の排気ガスを煙突の出口付近まで高温に保ってドラフトを強める必要はありません。

実際に我が家のロケットストーブの場合、室内側の煙突温度は以下のような感じになっています。

ちょっとわかりにくいですが、本体上側の垂直に取り付けている煙突までが断熱二重煙突のヒートライザーになっていて、その後の水平部からがシングル煙突となっているため、煙突の表面温度の測定結果では、煙突が垂直から水平になっている部分が一番高温(150℃)となっており、そこから徐々に温度が下がっていって、室内を出る頃には煙突の表面温度は60℃程度となっています。

このように、ヒートライザーで排気力を生み出した後は、比較的自由に配管を伸ばして排熱を有効に活用できるのがロケットストーブの特徴です。

また、ロケットストーブは燃焼室が小型で吸気力が強いため燃焼温度が高まり、未燃焼ガスが発生しにくい構造になっています。

その結果、未燃焼ガスがタールや煤と一緒に煙突内部に凝縮して溜まったり、それに着火して起こる煙突火災になるリスクが非常に少ないといえます。

このような理由から、ロケットストーブの場合は、高温の排気ガスの熱を室内に伝えることが可能となり、ロケットストーブ本体から出る輻射熱を利用した暖房だけではなく、室内の空気を暖めることも同時に行えます。

具体的には、ロケットストーブの室内に配置されているなるべく断熱効果のないシングル煙突をあえて長めに組み立て、煙突から熱を放熱させ、室内の空気を暖めます。

さらに、その煙突を黒色で耐熱塗装する事により、煙突から放射熱も同時に得られるので、更に効果的な暖房が実現します。

我が家では、上の写真のような煙突を採用していて、ロケットストーブに火を入れていても、部屋を出る直前の煙突を少しの間なら素手で触れる(約50~70℃)ぐらいにまで排気ガスの温度が下り、その分室内が暖められていることが分かります。

【ポイントその3】室内で液ダレを発生させない煙突の配置

ロケットストーブの煙突から出てくる木搾液

普通、薪ストーブを設置する場合、ドラフトを効果的に生み出すために、吹き抜けなどを利用して屋根まで煙突を一直線に立ち上げるような配置にすることが多くあります。

ですが、ロケットストーブを室内暖房として利用する場合、そのような構造は避けたほうが良いでしょう。

その理由は、真冬の外気で冷やされた煙突の内側に燃焼ガスに含まれる水分が結露し、それが煙突をつたって下の方にたれてくるから。

一般的な薪ストーブの場合、断熱二重煙突を使って排気ガスの温度を下げないで室外に放出するため、煙突内部への結露はほとんどありませんが、このロケットストーブのように積極的に室内に排気ガスの熱を伝えてしまうので、その弊害として冷えた煙突内部表面に結露が発生します。

お問い合わせで「室内で煙突の排熱を30度くらいまで引き延ばしたいと考えていたのですが、室外の煙突からうまく排出されませんか?」といった質問もいただきましたが、煙がうまく排出されるかどうかは、煙突の径を燃焼室の径より20~30%大きめに設計しておけば問題になってこないのではと思います。

ですが、排熱温度を下げすぎるとこの木酢液が室内の煙突の継ぎ目から垂れてきてしまうことの方が問題になてってくると思います。

我が家では室内側の煙突の温度を結露が発生しないぐらいの温度(煙突の表面温度で70~80℃)になるような室内側の煙突長を選び、そこから先の煙突を水平にして室外に出すという構造にしました。

室内暖房に使えるロケットストーブの結露水対策

こうすることによって、煙突内部での結露は室外でしか発生せず、発生した結露水は室外に設置したバケツにのみ排出されます。

ロケットストーブの煙突から出る木搾液を受けるためのバケツ

もちろん、室内側の放熱煙突の長さを短くし、室外側の煙突先端の排気温度を高くしてしまえばこの木酢液そのものを水蒸気のまま排出する(木酢液が水滴として垂れてこない)ことも可能です。

ですが、そうしてしまうと室内側で得られる熱量が減ってしまうので、我が家の場合は、室内側では液化せず、室外側で液化するような煙突長を選んで設置してあります。

この辺りは何度か室内側の煙突長を変えて実験してみれば、適切な煙突長が分かってくると思いますよ。

ちなみにこの結露水はホームセンターなどにも売られている木搾液と呼ばれるもの。

様々な活用方法がありますが、我が家では除草液としてこの原液を薄めずに庭に撒いたり、逆に薄めて木や野菜の根元に撒いて肥料の代わりに使ったりしています。

【ポイントその4】高温な配管はU字溝で保護

室内暖房用のロケットストーブの設置後

ロケットストーブの内部では、薪が400~500℃の高温で燃えています。

小さなお子さんがいる家庭では、火傷に対する配慮が必要です。

今回紹介しているロケットストーブは、U字溝とパーライトを使って燃焼室の周りを覆っているので、普通に使っていればロケットストーブ本体の温度は高いところでも、約100~130℃程度。

>>低めの表面温度を実現した自作薪ストーブと子供が火傷しない工夫

更にロケットストーブの周りに柵を設置しておけば、ロケットストーブに触れることもなくなります。

万が一、子供が何らかの原因でロケットストーブの本体に触れたとしても、この温度帯(約100~130℃)だと大火傷という感じにはならないでしょう。

一般的な薪ストーブの場合の炉壁温度は200~250℃ということですから、それと比べると安全なものに仕上がっています。

ただ、柵で覆われていない本体上部の煙突部は200℃ぐらいになっているので、大人は注意が必要です。

【ポイントその5】壁面貫通部を使って外気を暖めながら室内へ導入

一般的な薪ストーブと同じように、ロケットストーブも室内の外気を吸い込むことで燃焼室内に酸素を送り込み、薪を燃焼させています。

最近の断熱気密の整った家の場合、隙間風が室内にあまり入ってこないので、ロケットストーブがうまく空気を吸い込めず、燃焼が安定しない場合があります。

もちろん、窓などを少し開けておけばいいのですが、それだと窓の付近は若干室温が下がってしまいます。

そこで、我が家では煙突(Φ150)が壁を貫通している部分に、もう一つ太めの煙突(Φ150)を重ねて設置する事により、外気を暖めながら室内に導入しています。

煙突の熱を利用して外気を暖め室内に排出する第三種換気(室内側)

煙突の熱を利用して外気を暖め室内に排出する第三種換気(室外側)

こうすることによって、薪ストーブの弱点だった外気導入による室内空気温度の低下を解消する事が出来ます。

ただし、一般的な鋳物の薪ストーブの場合は、ドラフトの減少と煙突火災の誘発の原因となりますので、この手法を使わないでくださいね。

>>薪ストーブのデメリットだった煙突火災を防ぐための5つのポイント

次のページでは、ロケットストーブを室内設置するポイント6~9についてお話していきます。



タイトルとURLをコピーしました